なんという役得なんだろう。
と、ライターになってから思うことばかりです。
だって「記事を書く」という名目で、話題の人に会えるんだもん。
尊敬している経営者の人生観も聞けちゃう。あぁなんていいお仕事なんだろう。
ライターになれて、インタビューをする機会をたくさんもらえて本当によかった。
というのが、「インタビュー」について語るとき、まっさきに思うこと。
でも、インタビューってそんなに簡単じゃないんですよね。
というか、「簡単じゃいけないなぁ」とこの頃つくづく感じます。
いいインタビューのために、できることってたくさんある。
そんな風に思ってこの記事企画をはじめました。
▶きっかけについては、こちらのnoteに書いています。
いいインタビューとはなにか、なんてことを語るには、とうてい及ばないけれど…
ライター業をはじめて間もない方や、これからライターになりたい方に、「私は今のところこの方法がベストだと思っています」と伝えることならしても許されるんじゃないか。
もしかしたら、「マイベスト」と銘打ったら他のライターさんもこの企画に寄稿してくれるんじゃないか。なんて淡い夢を抱いたりしています。
また、
「ここはこうした方がもっと効率いいよ」
「その方法で失敗したことあるから気をつけなね」
そんなご意見もあればどうかお寄せください。
私だっていいライターになりたいし、いいインタビューができるようになりたいです。
ではでは、Chikenらしく、気弱なライターのインタビューノウハウ共有、はじめます。
インタビュー前日までの「やることリスト」
前置きが長くなりましたが、今回はインタビュー前の準備として、自分が心がけていることをまとめてみました。
最近インタビュー当日までにしていることは、ざっくりこんな感じです。
・取材対象者のことを調べる
・質問シート(提出用)と裏質問リスト(自分用)を用意する
・現場へのアクセスを確認する
「準備8割」という言葉があるけれど、これはまさにそのとおりで。
一部の天才ライターさんはどうかわからないけど、私はぶっつけ本番でいいインタビューができたことなんて一度もありませんでした。
本当はしちゃいけないけど、バタバタしていて「案外ぶっつけのほうが面白い話聞けたり?」とかとか甘いこと考えてしまったこともありましたが…
絶対に お す す め で き な い。
完璧とはいかなくても、上記のことをTO DOにするとインタビューをさせてもらう時間が豊かになる気がしています。
では、ひとつずつ分解していきますね。
掲載媒体の哲学と企画趣旨、編集者さんの想いを共有する
大前提でありながら、意外と疎かにしてしまいがちなのが、お仕事を依頼してくれた編集者さんとの「想いの共有」です。
編集者としてお仕事をさせてもらうときもあるから余計に思うのですが、メディアの哲学を汲んで書いてくれるライターさんの貴重さったらない。
同じAさんにインタビューをするにしても、Aさんからどんな話を聞いて、最終的にどんな答えに落とし込むかは、媒体によって全然違います。
だから、私が普段ライターとして声をかけてもらって、初めてのメディアでインタビューをすることになったなら、担当の編集者さんと事前に直接会って媒体説明をしてもらうようにしています。
最近はオンラインでのやりとりも主流だけど、直接会って話すに勝るものはないと思う。
会って打合せするときは、だいたいこんなことを聞いています。
・メディアのコアターゲット
・記事全体や文体のトーンとマナー
・今回の案件の企画趣旨
・取材対象者のどこに注目しているのか
・インタビュー内容(ざっくり)
・質問シート作成の有無
・編集者さん自身のこと
これは、編集者さんと「同じ方向を見て」記事を書けるようにするための下準備。
ちょっと億劫かも知れないけれど、編集者さんとの打合せは自分のためでもあるから絶対にしたほうがいいです。
そして、なんとなく会って話して終わり!ではなく、上に書いたことをなるべくきっちり話してくるとけっこう上手くいく。
実際に取材をしてきていざ記事を書き始めるときに「こんな感じで良いのかな」や「文章が気に入られなかったらどうしよう」といった書き手としての不安がなくなるし、何より編集者さんも安心してくれます。
そもそも、インタビューっていうのは周りの人たちと心を通わせて、たくさん話して、一緒にいい記事をつくることだと思っているので、編集者さんとの打合せも言っちゃえばインタビューの一環だと思っていけばいいのかも。
これは続編の「インタビュー当日」の記事に書こうと思っているのですが、いい話が聞けるかどうかは現場の雰囲気に全てがかかっているから、編集者さんと打ち解けるのは大前提です。
仕事とプライベートは別だし、誰のことも好きになれとは言えないけど、私はそう思う。
取材対象者のことを調べる
そもそも相手に時間を割いてもらって話を聞くんだから、「知ってて当然のこと」は本当に、知ってて当然であるべきで。
とはいえ、インタビューとひとことで言っても、対象者はさまざまです。
情報収集の仕方は、すでに取材されている著名人と、あまり取材されていない人(中小企業の社長など)で違うと思っています。
それぞれこんな感じ。
著名人のインタビュー記事にはベンチマークをつくってみる
②取材対象者のプロフィールと経歴を確認
③今回の案件と内容が似ている取材記事を見つける
④内容をチェックし、キーワードになりそうな部分をメモ
⑤ベンチマークにする記事があれば読み込む
わくわくしちゃう著名人のインタビュー。
それこそ役得で直接あれこれ聞けるのですが、すでに多くの取材を受けている相手だからこその注意点も。
まず前提として、「これ、他のインタビューでも答えたんですけど…うんぬん」と、話しの頭につけるような返答を相手にさせないようにしています。(もちろんやむを得ずその話に触れなくちゃ進まないときも多いけど)
だから、事前に集められる情報は出来る限り集めておく!
このあと質問シート作成についてご紹介しますが、そこに盛り込めないようなささやかな相手の情報も記憶の片隅に残しておくと、「そういえば以前こんなことをされてましたもんね」なんて相槌も打てたりします。
そしてこれは個人的にオススメなのですが、取材前に「この記事には負けたくないぞ」っていうベンチマークを決めておくと気合が入ります(笑)
記事じゃなくて情◯大陸とかガイヤの◯明けみたいなドキュメンタリー番組でもよくて、
要するにベンチマークがあると、どんな雰囲気の記事に仕立てるかイメージが付きやすいし、インタビューの方向性も決まってくるので。
そして、できればベンチマークは編集者さんにこそっと共有しましょう。
一般の方に話を聞くなら、SNSなどの細かい情報も拾う
②記事がヒットした場合は著名人インタビューと同じ
③記事がない場合はその人が所属している組織について調べる
④キーワードになりそうな部分をメモ
⑤どうしても情報がなければ編集者さんに手配してもらう
⑥辿り着ける範囲でSNSもチェック
未知の可能性を秘めていて、これまたわくわくしてしまう、一般の方のインタビュー。
学生さんや町工場の社長、メーカーの広報担当者さんなどなど、その人自身がまだ世の中に知られていないからこそ、自分が書く記事を通して伝えられることは未知数です。
その分、事前に収集できる情報が少ないのがネックだったりするけど…
基本的には、その人が所属する組織の情報くらいはネットで調べて拾えるので、そうやって周りから固めていくようにします。
どうしても知りたいことがあって、でも見つけられなかったら編集者さんに聞いてみましょう。
それと、対象者の名前で検索するとSNSがヒットすることもけっこうあります。
公開している内容ならば見ても問題ないので、その人自身のキャラクターを知るために参考にしてみるといいかも。
参考URL集をつくる
事前に情報を集めたら、取材当日に電車の中で見られるような「参考URL集」をつくります。
これは私が編集担当をするときにライターさんによく共有しているものなのですが、自分がライターのときは自分用にまとめておくと便利ですよ。
質問シート(提出用)と裏質問シート(自分用)を用意する
編集者さんとの事前打合せで、質問シートの内容をライター側で考える必要があるとなれば、上で集めた取材対象者の情報を質問に落とし込み、編集者さんに提案します。
でもこれ、必要と言われなくても共有しておくと、後で認識のズレがないので安心です。
ということで、どちらにせよ質問リストはつくっておくといいなと思います。
可能ならば前日までに取材対象者にも共有して、答える内容を準備しておいてもらえたらスムーズです。(これは編集者さんの判断による)
で、ライターになってから個人的に「やりやすいな」と思っているのは、提出用と個人用の2パターンで質問リストを作ること。
提出用の質問シート
提出用の質問シートは、インタビュー時に対象者に見せて、「今回はこんな内容を伺いますよ」とアジェンダを提示するイメージで使っています。
印刷したりメールで送ったりして共有するので言葉遣いは丁寧に。
そして、だいたい時系列に沿って質問を上から並べていきます。
ここには、今回のインタビューで最低限おさえておきたい質問が盛り込まれている感じ。
例えば
・◯◯を始めたきっかけについてお教えください。
・なぜ、◯◯なのでしょうか?
みたいに当たり障りのない、当日に言葉をアレンジしても問題なく伝わる王道質問を書いておきます。
自分用の”裏”質問シート
”裏”質問シートの内容は、基本的には提出用と同じです。
提出用の質問シートの内容に、ライターの私感が下のような感じでこっそりプラスされています。
→他のインタビューでは△△って言ってたけど実際どうなの?
・◯◯を始めたきっかけについてお教えください。
→幼少期の□□な経験が影響してるっぽい?
・なぜ、◯◯なのでしょうか?
→聞ける雰囲気だったらネガティブな要素も
文面に起こすとなかなか刺激的な内容も、口頭だと案外聞きやすかったりするので、こうやって「キラー質問」みたいなものを陰でいくつかセットしておくと、会話の引き出しが増えて濃い内容が聞けることも。
現場へのアクセスを確認する
当たり前だけど、なんだかんだこれがめちゃくちゃ大切です。
取材の現場が初めて行く場所であることもしばしばなので、自分の家から現地までどれくらいかかるのかしっかり確認しておかないと、あたふたする羽目に…(したことある)
できれば、編集者さんから取材場所の共有が来た時点で確認しておくといいですよね。
そうすれば、前後のアポも安心して入れられます。
本当のライブ感は、綿密な準備あってこそ
って、ずっと思っています。
コンサートだってミュージカルだって、その場のライブ感を支えるのは圧倒的な下準備だもん。
ここだけの話、当日でなんとかなっちゃうインタビューだってあるし、
むしろ、急な依頼でもなんとかするのがライターの腕の見せどころだったりするけど、マイベストは今のところこんな感じです。
準備しておいて損することなんてないのです。
私みたいに経験値に自信がないなら、なおさら。
次回の記事ではいよいよ「インタビュー当日」についてまとめさせてもらいますね。