わたしのPCには、いまも「ライターになるために」みたいな記事がお気に入り登録されています。
大学時代、キャンパス内のカフェテリアでひたすら調べたなごり(残骸とも言う)で、
削除したら完全に初心を失ってしまうような気がして、そのままにしているんです。
あれから数年、自分だってまだまだではあるけど、ちらほらと「ライターのこと教えてください」と相談をもらうようになりました。
なのに。
カフェで待ち合わせてぬるいコーヒーをすすりながらそれっぽいアドバイスをしている自分が、まぁダサい。ごめんなさい。
かつては自分が先輩たちに相談していたからこそ、いつかちゃんと、背中を押す側になりたいのに…
なので今回、「ライターになりたい」という夢を持ちながら、何から始めたらいいのか分からない人に向けた記事を書いてみようと思いました。
この記事の内容はあくまで個人の見解ですが、わたしが今に至るまでに「こうしたら良かったな」と思ったあれこれを踏まえて、誰かの役に立つことを目指してみますね。
正しく迷うためにもっといっぱい「サンプル」を集めればよかった
「どんなライターになりたいの?どんなことをしたいの?目標は?」
そんな風に聞かれても、ライターになりたての私はぼんやりとしっぱなしで、
どうなりたいのかが自分でも分かっていませんでした。
まずは「書く」を仕事にしたいっていう、それだけでした。
というか、ライターってどうやって生きていくものなのかが全然よくわかってなくて(!)
何から頑張れば良いのかもさっぱりで、
育てようとしてくれる人がいても、「この子にどうアドバイスすればいいんだろう?」と思わせてしまう始末。
だから今、わたしに大事な後輩ができたら
とにかく、自主的にサンプルを集めよう
と伝えたいです。
「こうなりたい」の例がないと、頑張るに頑張れないってことを実感したからです。
でも、サンプルってなんだろうね?
となるかもしれないから、まずはライター(物を書く人)の種類を考えることから始めてみましょう。
顔出しをしてるwebライターさんが花形な感じになってきてるけども。
ということで、こんな図をつくってみました。
ひとことで「ライター」といっても、その種類はさまざま。
そんなこと、言われなくてもわかってるだろうけど、改めて確認しておかないと、理想のライター像まで遠回りしてしまうことだってあるはずです。
あと、意外と「こうなりたい」っていろいろな人に話していると叶うものだから、決まってる人は強い。
上の図はかなりざっくりしているし、関わるメディアによって★の位置もきっと変化します。
でも、ライターとしてどうなりたいか、というのは、こんな風に文字数と知名度を指標にすると考えがまとまりやすいんじゃないかな。
文字数(書く媒体)によって学ぶべき文章のスタイルが変わると思うし、
目指す知名度によって磨くべきコトが変わると思うからです。
ひとつずつ分解してみますね。
文字数のことは「紙」で書くか「web」で書くかにも関わってくる
この場合文字数が示すのは、「紙媒体で書きたいのか」「web媒体で書きたいのか」にも紐付いてきます。
それぞれの特徴を実体験の中からまとめてみるとこんな感じかなぁ。
- 文字数の制限が厳しい
- 原稿納品時の形式が厳しめ(実際の文字組みをある程度再現する。Wordで納品が多い)
- ラフありきで原稿を書く(ラフができていないと原稿がまとまりにくい)
- 編集者(発注者)との距離感は公私はっきり分ける人が多い
- webに比べて、日本語の正しさに忠実な文章を求められることが多い
- 写真の選定やレイアウトのラフ作成もできると強い
- 文字の表記統一厳守(書籍全体の世界観を統一する必要があるため)
- 制作スケジュールが長め(ただし納期に余裕があるとは限らない)
- あまり書き手の色を出さない
- 文字数の制限がゆるめ
- 紙媒体よりも文章量が多い傾向(インタビュー記事なら3,000文字以上がふつう)
- 原稿の納品方法は自由度高め(Word、Googleドキュメントなど)
- 編集者(発注者)との距離が近め(連絡手段がMessengerやチャットなど)
- 記事作成でのライターの権限が強め(編集者が手を入れないこともある)
- ものによるが、原稿料は紙よりも低め
- 文章の質よりもPV数で評価されることもある
- 文字の表記統一は記事内で出来ていればそれほど気にしない
わたしは幸運にも両方経験できているから、もしよければ参考にしてみてください。
恥ずかしがらず「有名になりたい」と言っちゃえ。でも中長期的な見通しをもって
あとあと、最近はwebで書くライターさんが「読モ化」してると言われるくらいだから、
インフルエンサーになることへの憧れをもってこの世界に足を踏み入れている人も少なくないのかもしれません。
それで思い出すのは、先輩たちに教えてもらった「どんな形でも、有名になりたい!って野心を持っていないライターは成長しない」という教訓。
ライターのお仕事は割に合わないことが多すぎるし、自分が書いた文章を世に出すなんて、自己顕示欲の強い人じゃないとやってられません。
そんな背景が、件の先輩たちの「有名になりたい」論につながるんだろうな。
でも、有名になる過程には、必ずリスクが伴うはずで。
だから、簡単に自分を切り売りしないで、リスクを伴ってまで自分を晒す必要があるのかは考えたほうがいいと思う。
なんとなくで「こんにちは。ライターの◯◯です」案件は受けない方がいいよーと言いたい。
あと、本当に「今」自分を露出させなきゃダメなのか、とか。
まだ足元がぐらついている若手の頃に無理をして表に出たら、うっかり怪我をしてしまうこともあります。(ちょっとだけ体験談)
あと、「有名になりたいとか言うのダサくね?」と思いつつ、心の奥底では誰かに認めてもらいたくて結局有名になることを望んでいる(わたしのような)こじらせ系さん。
何様だよって感じだけどこれだけ書かせてください。「素直な人のほうが得だよー!」
というわけで、ある程度「有名になりたい」を分解してコツコツ活動していくのがいいんじゃないかと思う今日このごろです。
- 何のために有名になりたいのか
- 何の分野で有名になるのか
- その分野で有名になれる可能性はどれくらいあるのか
ライターとして有名になるということは、イコールなにかしら有益な発信をしていることだと思う。
例えば文章が上手とはいえなくても、多くのファンがいるから、そのライターさんが書くだけでPVが伸びるとか。
何かの分野に特化しているから、「この人がそう書いているなら」と読者が次のアクションを起こしやすいとかもろもろ。
残念なことにわたしに実体験がないので、「ライターとして有名になる方法」をここに書くことはできないのですが…
これからの時代、ライター個々の発信力が重要になっていくのはほぼ確実だから、一緒に頑張らせてください。
「とにかく業界に入る!」はきっと正しかったはず
最初の話に戻ると、わたしが学生時代に調べてたどり着いた「ライターになるには」の記事には、一様にこんなようなことが書いてありました。
ライターなんて、名乗ったもん勝ち。
ライターに資格なんてないのだから、手っ取り早くライターになりたいのであれば、自分で「ライター」と肩書きのついた名刺を作ればいいのです。
でもその作戦って、信頼を勝ち取るという点でははなかなか難しいのも事実です。
あくまで個人の見解として、だけど断言させてもらいたいんだけど、入り口ってかなり大事です。
「ちゃんとしたところで学んだ」という保証は、そのうち信頼に変わります。
わたしも制作会社で紙の編集を教えてもらったことが、フリーランスになってお仕事をいただくときにかなり力になってくれていたりします。(いつか恩返ししないと…)
とかなんとか言って実は、新卒で制作会社への入社が決まってからも、「これでよかったのかな」とギリギリまで悩み続けていました。
…ライターになりたかったとはいえ、少数精鋭タイプの制作会社が最初のキャリアでいいんだろうか?「プラダを着た悪魔」のように、ピカピカの床をハイヒールでコツコツ言わせながら歩く夢はどこにいってしまうんだろう?
とかとか。
そんな風にキラキラ社会人生活の雲行きがあやしくなってきたわたしは、大学卒業を前に、宣伝会議が主催していたライター・編集志望者向けのキャリア相談会に参加したことがありました。
そのときアドバイザーさんに言われたのは、「とにかく、いま入社が決まっているところがあるなら大事にしなさい」ということ。
webの場合はまた少し状況が違うのかもしれないけど、ライターとしてのキャリアをスタートさせるなら、まずは何としてでも「業界のツテ」がものをいいます。
今だったらインターンやアルバイト、業務委託などさまざまな形態でライターが募集されているから、行動したらわりとすぐに組織の一員として「ライター」と名乗れるチャンスがあるはず。
そこまで行って次に悩むのはきっと、誰に教えてもらうか問題です。
「育ててくれる人がいない」なんてよくいうけれど
サンプルが大事だと思ったのは、「どんな文章を正とするか」についても同じです。
そもそも文章に答えなんてないのだから、同じ文章を書いていたって、担当編集者によって評価が全然ちがくても仕方なくはあるんだけど…
でも、「わかりやすさ」とか「読みやすさ」とか「興味の惹きつけ方」とかは、ある程度の型みたいなものがあることが、わたしも最近やっと理解できてきました。
それをどうやって学ぶかが問題になってくるわけだけど、
ほんとうに、
「ねだるな、勝ち取れ、さすれば与えられん」
だと思ってます。
ライティングのノウハウをちゃんと教えてくれる人がいないと悩んでる人ほど、あんまりアクションしてなかったりするよね(過去の自分に言ってます)。
衝撃だったのが、ど新人のときに「教えてもらおうなんて思っちゃダメ」って言われたことがあって。
なぜならほとんどのライターさんが、やりながら自分の文章を見つけていったからだそう。
考えてみたら、多くの社会人がOJTとか新人研修とかでなかなか現場で経験させてもらえないのに対して、ライターの世界は多分「とりあえずやらせてみるか」のハードルが低めな印象です。
だけどその分、けっこう辛辣なフィードバックが来ることもあります。
それを、まるでスポンジのように「いいな」と思ったところだけ吸収していくしかないんです。
(わたしはこれを「ドラゴンボールのセル的モチベーション」ってよんでる)
ただ、フィードバックしてもらいやすいライターでいることを心がけたいものです。
指摘されてものすごく傷ついても、納得できなくてめちゃめちゃ悔しくっても、それを栄養だと思わないと「いいサンプル収集」はできません。
あーあ、あと2年くらい早くそのことに気が付きたかった!!
でもきっとあと2年したら、今見えてない大事なことを知って同じように悔やむのかもしれません。
そしたらまた、2年前の自分と同じような境遇にいる誰かに向かって、こんな記事書きますね。