普段はなかなか書けない本音や、同じような境遇のライターさんに勇気が湧くお話を揃えていきたいなぁと思っています。
今回の書き手は、フリーランスライターの鈴木しのさん。
ライターデビュー時から現在までの記事単価の変遷についても赤裸々に教えてくれました。
はじめまして。ライターの鈴木しのといいます。
今年の夏で、ライターとして働き始めて2年が経ちます。
右も左もどころか、右や左があるのかさえわからない ままにライターを名乗り始めたあの頃から、振り返ってみると意外にも遠くまで歩いてきたような気がしています。
ライターになりたての頃、「ライターとして成長したいんです」と会う人会う人に言い続けていた昔のわたしのように、最近では「どうしたらライターになれますか?」と質問をいただくことが増えてきました。
まだまだ学ぶことばかりの身ではありますが、もしもわたしの答えが誰かのためになるならという気持ちで、いただいた質問には向き合っています。
最近では、昔のわたしが駆け出しの頃に欲しかった場所をと考えて、文章のとびらをゆるりとコンコンたたくコミュニティ「tap」を立ち上げました。
ライターとして初期の頃に抱く悩みや、文章を仕事にする上での悩みや疑問を、約20名のメンバーと一緒に日々考えています。
そうして、先日コミュニティ内やオフラインでライター同士話していたときに、とてもリアルでシビアでセンシティブな話題を問いかけられました。
それは、「記事の単価が上がりません。どうしたらいいでしょうか」と、いうもの。
この問いに対する答えをわたしが持っているのかどうかは、正直なところわかりません。
けれど、もしも必要としてくれる人がいるならと思って、今日は初めて自分の仕事と単価の話を書いてみることにしました。必要としてくれる方の元に、丁寧に届くとうれしいです。
1記事400円のクラウドソーシング。それでも十分しあわせだった
わたしが初めて文章でお金をいただいたのは、冒頭にもあるように今から2年前の夏のこと。
「ライター なり方」なんて調べて、クラウドソーシングの存在を知りました。
いまはもう無くなってしまった女性向けのソーシングサービスに登録して、手当たり次第に仕事を探したことを覚えています。
生まれて初めて書いた記事は、とある「趣味を探すためのメディア」でした。
担当の編集者さんから「なにか書きたいテーマはありますか?」と聞かれて、すぐさま「文房具の記事が書きたいです」と答えて。(申し遅れましたが、大の文房具好きです)
無事に企画は採用されて、800文字くらいのさりげない文房具集めの魅力を語る原稿を書きました。
記事単価は400円、戻しは合計3回。
上野の高架下にあるドトールコーヒーで、うんうんと頭を悩ませて完成した原稿でした。
こんな話をすると、「時給換算したら安すぎない?」なんて言われてしまうけれど、もうそれはもともとわかっていることだったりします。
800文字書くだけだって、今ですら10分はかかるのだから。
そのあとに、推敲して修正して、納品後にもまた修正して。
どんなに頑張っても、400円の記事なら時給は200円くらいにしかならないです。
アルバイトをしたほうが、スムーズに稼げるでしょう。
でも、わたしはそれでも良いと思った。
だからライターの世界に飛び込みました。
価格のことは一旦置いておいて、それでも頑張りたいと思えるほどのものだったから、わたしは文章を仕事にしました。
だから、もしも今「文章を仕事にしたいと考えていますが、生計を立てられるのかどうか心配だ」と考えている人がいるなら、お金のことは一旦置いておいても良いと思えるかどうかは、ひとつの指標かもしれないです。
今ですら、無料でも携わりたい仕事はたくさんあります。
大事なのは、お金よりも気持ち。わたしは、そう思う。
……あ、もちろん、お金もとっても大切だけれどね。
2年間、失敗だらけだったけど、困らないだけの記事単価にはなりました
ここで、わたしのこれまでの単価の変遷を公開してみようと思います。
あくまでひとりのWebライターとしての話だけれど、オーソドックスな道を辿った気がするので参考にしてもらえるとうれしいです。
先ほどご紹介した通り、わたしの記事単価は400円からスタートしました。そこからコツコツと上がり、今に至ります。
ものすごく細かく書いているけれど、あくまでひとつの参考にしてもらえると。
あくまで、一例、です。大切なことなので二度言いました。
現在だと、だいたい10,000〜40,000円の間を行ったり来たりしながらお引き受けしています。
わたしは根っからの稼ぎたい欲が薄い人なので、お仕事を引き受ける基準はいつも「将来も一緒に仕事をしたい人かどうか」。
こちらから人を選ぶだなんて失礼な話なのかもしれないけれど、お互いにモヤモヤしながらするお仕事よりも、気持ちよく「あなたと仕事がしたい」と言い合えるほうがいいのではないか、という淡い気持ちでお仕事を選んでいます。
とはいえ、お断りするお仕事はほとんどありませんが、自分が苦しくなるお仕事を引き受けるのは、みんなしあわせになれないはず。
ちなみに、「どんなお仕事をしているのですか?」と聞いていただくことも多いのでわたしがお引き受けしている執筆系のお仕事も合わせてご紹介しますね。
いくつかありますが、大きく分けると
・SEO記事
の2種類です。だいたい、定期的に20本前後の記事を書いています。
2年間で一番書いていた時期には50本近くの記事を書いていたので、それに比べると随分余裕を持って仕事できているように感じています。
(それでもスケジュール管理が苦手なので、ご迷惑をおかけすることもあります)
いっぱい失敗しながら、ギリギリでいつも生きてきました
人と人とのご縁に恵まれて、そしてわたし自身もご縁がつながるよう、駆け出しの頃はとにかく手足をたくさん動かして人と会ったり、たくさん記事を書いたりしてきました。
これまでには、なかなか質が追いつかずにご迷惑をおかけしたり、スケジュール管理が追いつかずに納期を伸ばしてもらったり…。
たくさん失敗と反省を繰り返しながら、なんとかここまで来れたように思っています。
今となってはこんな風に「誰かの参考になれば」なんて先輩風を吹かせてコラムを書いていますが、ついほんの何年か前まではぼんやりと「文章が仕事になったら素敵だな」とふんわり思っていた程度の人間。
まだまだ、憧れる人ばかりです。
手を伸ばしても届かないような先輩方もたくさんいます。
でも、2年前のわたしに、今のお仕事の話をしても信じてもらえないような気がするんです。
それくらい、夢ですら想像できないくらいのうれしいお仕事をたくさん経験できたから。
だから、ライターとして食べていくことができるかどうか不安と思っている人は、どうか知っていてほしい。
決してスピーディーな道ではないかもしれないけれど、コツコツ続けてさえいればきっと「なんとかなった」と言える日がくるはず。
迷っているなら頑張って記事を書いてみてほしい。
悩んだときも、とにかくなにかの文章を書いてみてほしい。
職人気質って思われてしまうかもしれないけれど、ライターにとっての「想い」と「継続力」は、意外と強い武器になるはずです。
そちらもどうぞお楽しみに。